この作品、ロビン・ウィリアムズ主演で映画化されてるんで観た方も多いとおもいますが、
この作品ほど愛しい作品はないってくらい、ぼくはこの本に首ったけになってしまいました。
何がいいの?
どういいの?
人にこの作品の良さを伝えるのは、とても難しい。
ここで描かれるのは現代のアメリカが抱える様々な問題、例えばそれはレイプであり、家族のあり方であるんですが、それが正面切って描かれていくかと思えば、寓話的な演出によって描かれたりする。
はっきりいって、本書の内容はかなり残酷です。しかし、その裏側にはアーヴィングの家族に対する温かい目がたえずそそがれている。
厳しい現実と虚構の寓意性が見事に融合して、独特の世界を作り上げているんです。
愛と暴力がこれほど並列に語られる物語を、ぼくは他に知りません。
アーヴィングの筆は時間と空間を自由自在に行き来し、小説の持つ制約を軽々と飛び越えていきます。
でも、決してそれが読者にとってストレスにはならない。まさしく神業的な小説作法です。
英米では、アーヴィングの作品としては本作より「オウエンのために祈りを」の方が評価が高いようですが、ぼくが思うに日本人には、本作の方が断然合っている。そう言い切っちゃいます。
興味をもたれた方は、是非ご一読を。