というわけで、伊坂幸太郎編のアンソロジー二冊目なのであります。こちらのラインナップは以下のとおり。
眉村卓「賭けの天才」
井伏鱒二「休憩時間」
谷川俊太郎「コカコーラ・レッスン」
町田康「工夫の減さん」
泡坂妻夫「煙の殺意」
佐藤哲也『Plan B』より「神々」「侵略」「美女」「仙女」
芥川龍之介「杜子春」
一條次郎「ヘルメット・オブ・アイアン」
古井由吉「先導獣の話」
宮部みゆき「サボテンの花」
こちらも、新旧及びジャンルとりまぜてにぎやかなメンバーだね。眉村卓「賭けの天才」はショート・ショートなのだが、オチが秀逸。これは読んでいるぼくもぞわぞわしちゃいました。井伏先生の「休憩時間」は、なんとも微笑ましいスケッチ。青春の情熱とバカっぽさ青臭さが充溢してます。谷川俊太郎「コカコーラ・レッスン」は、頭の中で起こる壮大なパノラマが体験できちゃいます。ぼくは頭悪いから、こんな思考もったことないです。「
町田康「工夫の減さん」は、なんとも残念な人が出てくる。それは、その人が真面目で真剣であればあるほど、こちらはおかしくなってしまうというあの法則で成り立っている。それにしても町田氏の表現て独特。
泡坂妻夫「煙の殺意」は、ちょっと思いつかない逆説的な動機による犯罪を描いたミステリ。こういうの書かせたらこの人の右に出る人いないよね。また亜愛一郎のシリーズ読みかえそうかな。
佐藤哲也の作品は、四百字でそれぞれおさめられているほんとのショート・ショート。ぼくの好みではない。感覚的にね。
「杜子春」は、まあよく知っている話で、大昔に読んだのかも定かでないけど、二回豪遊している部分はすっかり忘れていました。まあ、めでたしめでたしで終わって良かったよね。
次の一條次郎「ヘルメット・オブ・アイアン」は、その「杜子春」をなぞらえて描かれたもう一つの杜子春の話。でも、この笑いはあまり好みじゃないな。おふざけがおふざけのまま完結している感じがして・・・。
古井由吉「先導獣の話」は、なかなか手強い。何気なく総体として認識していた人間の行動がとある理論のもと完成された論説として導き出されるのかと思いきや、話は少しづつズレて、なんとも不穏な世界に落ち着く。ここには欲望とか、情熱とか、食欲とかはない。無味で不毛でモノクロな世界が広がってゆく。
宮部みゆき「サボテンの花」は、奇妙な出来事がすべて実を結ぶという鮮やかな作品で、そういった意味ではすぐれたミステリであり、情に訴えるいい作品である。しかし、この人の描く子どもたちは賢すぎていけない。「ソロモンの偽証」でそれは際立っていたからね。
というわけで、ぼく的には前回のオーシャンラズベリー篇のほうが好みかな。でも、新しい作品に出あえるという意味で、この二冊、読んで損はなしなのであります。
眉村卓「賭けの天才」
井伏鱒二「休憩時間」
谷川俊太郎「コカコーラ・レッスン」
町田康「工夫の減さん」
泡坂妻夫「煙の殺意」
佐藤哲也『Plan B』より「神々」「侵略」「美女」「仙女」
芥川龍之介「杜子春」
一條次郎「ヘルメット・オブ・アイアン」
古井由吉「先導獣の話」
宮部みゆき「サボテンの花」
こちらも、新旧及びジャンルとりまぜてにぎやかなメンバーだね。眉村卓「賭けの天才」はショート・ショートなのだが、オチが秀逸。これは読んでいるぼくもぞわぞわしちゃいました。井伏先生の「休憩時間」は、なんとも微笑ましいスケッチ。青春の情熱とバカっぽさ青臭さが充溢してます。谷川俊太郎「コカコーラ・レッスン」は、頭の中で起こる壮大なパノラマが体験できちゃいます。ぼくは頭悪いから、こんな思考もったことないです。「
町田康「工夫の減さん」は、なんとも残念な人が出てくる。それは、その人が真面目で真剣であればあるほど、こちらはおかしくなってしまうというあの法則で成り立っている。それにしても町田氏の表現て独特。
泡坂妻夫「煙の殺意」は、ちょっと思いつかない逆説的な動機による犯罪を描いたミステリ。こういうの書かせたらこの人の右に出る人いないよね。また亜愛一郎のシリーズ読みかえそうかな。
佐藤哲也の作品は、四百字でそれぞれおさめられているほんとのショート・ショート。ぼくの好みではない。感覚的にね。
「杜子春」は、まあよく知っている話で、大昔に読んだのかも定かでないけど、二回豪遊している部分はすっかり忘れていました。まあ、めでたしめでたしで終わって良かったよね。
次の一條次郎「ヘルメット・オブ・アイアン」は、その「杜子春」をなぞらえて描かれたもう一つの杜子春の話。でも、この笑いはあまり好みじゃないな。おふざけがおふざけのまま完結している感じがして・・・。
古井由吉「先導獣の話」は、なかなか手強い。何気なく総体として認識していた人間の行動がとある理論のもと完成された論説として導き出されるのかと思いきや、話は少しづつズレて、なんとも不穏な世界に落ち着く。ここには欲望とか、情熱とか、食欲とかはない。無味で不毛でモノクロな世界が広がってゆく。
宮部みゆき「サボテンの花」は、奇妙な出来事がすべて実を結ぶという鮮やかな作品で、そういった意味ではすぐれたミステリであり、情に訴えるいい作品である。しかし、この人の描く子どもたちは賢すぎていけない。「ソロモンの偽証」でそれは際立っていたからね。
というわけで、ぼく的には前回のオーシャンラズベリー篇のほうが好みかな。でも、新しい作品に出あえるという意味で、この二冊、読んで損はなしなのであります。