読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

古本購入記 2007年8月度

今月は結構買いましたよ。 二十五作品二十七冊も買ってしまった。なかなか盛況である。今回は古本本来の目的である絶版本及び稀 少本の収集よりいかに安く本を手に入れるか?という命題のもと買い漁ったような結果になってしまった が、本の値段がどんどん高…

アルフレッド・ベスター「ゴーレム100」

ベスターの「虎よ、虎よ!」は、まったく期待外れの結果に終わってしまったのだが、晩年に書かれた本書は結構楽しめた。 SF的アイディアとか、過去のSF作品の換骨奪胎とか、ベスター流のSF批評だとかいう小賢しい要素は別にして、この乱痴気騒ぎともい…

リュックの中身

きない村だか、きさい村だかいう何もないような田舎の村のバス停であなたは待っている。 何を待ってるんだろう? バスを待っているのか、人が到着するのを待っているのか、よく思い出せない。 右を見れば田んぼの畦道を少し広くしたような地道がずーっと地平…

イーユン・リー「千年の祈り」

クレストブックスの最新刊は、中国出身の新鋭イーユン・リーの短編集だ。向こうでは『もっとも有望な若手アメリカ作家』に選出されたりして、すごく話題になっているらしい。こういう異文化圏から進出して母国語ではなく英語で作品を書く作家には特に注目し…

ジョン・ダニング「災いの古書」

待望のクリフ・ジェーンウェイシリーズ最新刊の登場だ。前回の「失われし書庫」から三年。今回はわりと早く刊行されたほうだ。だって第二作と第三作のインターバルは七年だったからね。 翻訳ミステリに限って言及するならば、本来飽き性のぼくが飽くことなく…

ジュディ・バドニッツ「空中スキップ」

もう、こういう話が大好きだ。やっぱりアメリカの女流作家はおもしろい。本書には23篇の短編がおさめられている。各編は5、6ページと、とても短いのだが読み応えは充分。 バドニッツの描く世界は、そのまま夢の世界である。奇妙で、残酷で、とても刺激的…

本のタイトルリレー

冴さんから本楽家協会企画の『本のタイトルリレー』が回ってってまいりました。この企画がどういったものかという説明は、もうみなさん仲間内の記事で知っておられると思うので、割愛させていただきます。 冴さんから回ってきたお題は「キスまでの距離 ~お…

吹雪の夜に

悪路を走行するのは得意じゃない。まして、それが猛吹雪の中だなんてまるで悪夢みたいなシチュエーシ ョンだ。フロントガラスに叩きつけられる雪はほとんど塊で視界をふさいでくるので、ワイパーなどもの の役にも立たない。このままじゃワイパー自体がいか…

菊地秀行「腹切り同心 幽剣抄」

こういう短編集って、第三集目ともなると正直飽きてしまうものなのだが、本書に限ってはまったくそんな気配もない。むしろどんどんおもしろくなってくる。まさに驚異のシリーズだ。 本書に収録されている作品は以下のとおり。 第一話「湯治宿」 走る俊輔 第…

多島斗志之「白楼夢 海峡植民地にて」

多島斗志之は以前に「症例A」を読んで、なんという終わり方をする本なんだ!と驚いたことがあった。 もちろんそれは良い意味での驚きではなく、肩透かしという意味合いでである。ラストまでは、なかなか良かったのに、最後の最後であんな終わり方するとは思…

古本購入記 2007年7月度

最近、仕事が忙しいので、めっきり本を読む時間が減ってしまった。これは由々しき事態ですぞ。 自然ブログをする時間もなくて、軽い放置状態である。今現在、一冊感想を書かなければならない本があ るのだが、それも書けずじまいである。 7月も前の月に続い…