読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

本のタイトルリレー

 冴さんから本楽家協会企画の『本のタイトルリレー』が回ってってまいりました。この企画がどういったものかという説明は、もうみなさん仲間内の記事で知っておられると思うので、割愛させていただきます。

 

 冴さんから回ってきたお題は「キスまでの距離 ~おいしいコーヒーのいれ方 Ⅰ」でした。

 

 意外ですね。ほんと意外^^。村山由佳といえば以前「天使の卵」を読んで、ほんとせつなくなって絶賛してしまったのですが、冴さんは引いてしまったという御意見。やっぱりこういう話は男の方が単純にノックアウトされてしまうものなのかなぁなんて思ってたんですが、それを逆手にとってJブックスのこの本をもってきてしまうところに冴姉貴の底力を感じてしまいました^^。

 

 と、前置はこれくらいにして。

 

 さて、ではぼくはいったいこのお題からどんな本を選出すればいいのか。『距離』を除外して、その他のキーワードで考えてみると「キス」「までの」「おいしい」「コーヒー」「の」「いれ方」から選ばなくてはいけないんですよね。この中で一番選びやすそうなの、やっぱり「キス」かな。すぐ思いつくものでは樋口有介の私立探偵柚木草平シリーズ第二弾「初恋よ、さよならのキスをしよう」ですね。しかし、これじゃあ、なんか簡単すぎるなぁ。そういえばあとロアルド・ダールの異色作家短編集の一冊「キス・キス」ってのもありましたね。でもこれじゃあ次に続かない。あとに続かないといえば新潮社のクレストから出てたキャスリン・ハリソンの自伝的小説「キス」ってのもあった^^。

 

 他のキーワードはどうだろ?「までの」ってのはまったく思いつかない。「コーヒー」もないなぁ。早川文庫で「珈琲相場師」てのがあったけど、字が変わってるもんな。

 

 「の」はいっぱいあるから、これは保険においておこう。「いれ方」はどうだ?う~ ん、これもまったく思いつかない。いれ方?この場合「いれ」と「方」に分けてもいいのかな?でも、そうしてもまったく思いつかないなぁ。じゃあ、やっぱり最初の「キス」に戻ってみましょうか。っていっても、これも案外ないんだよな。ハーレクインロマンスあたりなら、いっぱいありそうだけど生憎そのジャンルは守備範囲じゃない。おっと、行き詰ってしまったかな。こうなったら保険に残しておいた「の」でお茶を濁してしまおうか。「の」だったらいっぱいありますよ^^。まず思いつくのは、ぼくの大好きなファンタジー、ピアズ・アンソニィ「カメレオンの呪文」。ミステリだとカーの「ユダの窓」「盲目の理髪師」「白い僧院の殺人」、クイーンだったら国名シリーズ全部使えるし、クリスティも「検察側の証人」なんて有名な作品がある。いってみれば入れ食い状態だ^^。限りなくある。

 

 でもそれはちょっと抵抗あるなぁ。だって、簡単すぎるもの。できれば他のキーワードで選びたい。

 

 というわけで、やっぱり最初に選んだ「キス」に戻ってくるのですが、ひとついいのがありました。



蜘蛛女のキス (集英社文庫)

 いわずとしれたラテンアメリカ文学の恥部ともいうべきブイグの代表作であります。この場合『恥部』っていうのは褒め言葉ですのでお間違えなきように。この作品は映画化もされたので、かなり有名ですね。ウィリアム・ハートの名演技が印象に残ってます。ブエノスアイレス刑務所の中で生まれた、テロリストとホモセクシュアルの、妖しいまでに美しい愛。密室での二人の対話で話が進められる構成は、異様な緊迫感をともない、読む者を圧倒します。

 

 ラテン・アメリカの奥の深さを垣間見せてくれるこの傑作、現在は本屋で見かけることもなくなりましたが、古本屋でみつけたら是非読んでみてください。

 

 と、こんな感じでいいのでしょうか?冴さん^^。

 

 で、次に誰かに回さなきゃいけないんですよね?誰に回しましょう?