「容疑者Ⅹの献身」関連で、湯川教授初登場作読んでみました。
本書は短編集、各事件ありえない現象が描かれ、それをわれらがガリレオ先生がスパッと解決していま
す。でもね、これはちょっと好みじゃないですね。
理数系の思考回路を持つ探偵が好きだとは書きましたが、本書で描かれる事件はモロ科学の世界なんで
す。これは、ある程度の誇大解釈があるにしても、そこそこ実現可能なトリックなんだと思います。
でも、こういうありえない現象を科学の力で解決するのは、あまり好きじゃない。
いってみれば、CG技術で不可能を可能にしたみたいな感じで、納得はしてもミステリとしての感動は
薄い。
やはり、あの『思い込みによる盲点』のようなトリックがいい。錯覚、勘違い、盲点、そういったもの
を組み合わせたトリックにぼくは惹かれます。
しかし、東野さんよく勉強されたと思います。科学で解決するといっても、事件自体「突然燃え上がる
若者の頭」、「心臓だけ腐った男の死体」、「海上で突然爆発するビーチマット」、「幽体離脱する少
年」と、本当にありえない事件ばかりなんですから。
というわけで、ガリレオ先生はこれで納得しました。
また、長編に期待したいと思います。