読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2005-11-27から1日間の記事一覧

井上ひさし「十二人の手紙」

これを読んだ時は、正直驚きました。 これは、推理小説としても一級品ではないか、とね。 本書は連作短編の形式をとっています。 各章、それぞれ独立した短編で、タイトルが示すとおりみな手紙文で構成されています。 でも、それが只の手紙にとどまらず、そ…

トム・リーミイ「サンディエゴ・ライトフット・スー」

この人、日本では不遇な作家だと思います。 なかなか全貌が明らかにならない。この本も、変な本が多かったサンリオSF文庫の中で数少ない傑作本だといわれながら、復刊もままならず(福武書店撤退しちゃいましたからね)いまだに入手しにくい状況になってい…

アン・ファイン「チューリップ・タッチ」

YAだからといって侮ってはいけません。本書には、現実を見据えた毒があります。人から受ける悪意は、多かれ少なかれ誰もが経験するもの。まして、それが子どもの間で起こることなら、その悪意に容赦はありません。 しかし、本書で語られる『悪』は常識の範…

東野圭吾「探偵ガリレオ」

「容疑者Ⅹの献身」関連で、湯川教授初登場作読んでみました。 本書は短編集、各事件ありえない現象が描かれ、それをわれらがガリレオ先生がスパッと解決していま す。でもね、これはちょっと好みじゃないですね。 理数系の思考回路を持つ探偵が好きだとは書…