読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

ジョナサン・フランゼン「コレクションズ」

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 タイトルの「コレクションズ」とは、修正のこと。

 

 現代アメリカの縮図として描かれる一つの家族。内包された小宇宙ともいうべきその縮図の中で、家族はそれぞれ悩みを抱え、鬱屈と倦怠にまみれながらも精一杯生きている。

 

 こう書けば、小難しい印象を受けるかもしれないが、決してそんなことはない。

 

 フランゼンの筆は時に執拗になることもあるが、おおむね軽快でユーモラスに一つの家族の人生を切りとっていく。

 

 濃密な時間をすごした。嫌な人間ばかり出てくるのがいい。そこでうまれる喜劇、悲劇にはあらゆるドラマの要素が入り混じり、自然ページをくる手は止まらなくなる。

 

 いつまでも親にとって子は子であり、心配の種なのである。その親にしたって、年をとればまた子にかえっていく。永い人生の中で、様々な確執がうまれ家族という内包された世界でもあらゆるドラマがうまれる。いきつく場所は死なのだが、何が正しくて何が幸せなのか、波の浮き沈みの中でその答えを出すことは出来ない。

 

 とりとめなくそんなことを思ったが、総じて本書はおもしろい。ドラマとして完成されている。

 

 突飛さにかけても、何度か驚かされた。まさか、う○こがああいう形で登場するとは思いもしないではないか。