読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

マルキ・ド・サド/澁澤 龍彦 訳 「ジェローム神父」

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異端だ。まさしくそうだ。

以前マンディアルグの「城の中のイギリス人」を読んだときもそう思った。

本書は「美徳の不幸」からの抄録版だそうで、とても薄っぺらい本である。

これで1800円は高いと思ったかといったらそうではない。

本書には、会田誠氏のそれはそれはインモラルで不道徳な挿絵がついており、これだけでも確かに値段相応の価値はあると思う。

彼の少女食人というモチーフは、まさしく本書にぴったりだ。

グロで、エロな世界だ。サドはやはり怪物だ。彼の作品をしっかり読んだことはないのだが、「悪徳の栄え」は一度読んでみたいとは思ってる。

美と醜が渾然一体となった感覚は、心の根の部分を揺さぶる。

通常の感覚をはるかに超越した世界は、恐れる心を麻痺させる。

あぶない世界だが、誰もが心の中にもっている世界なのではないだろうか。