読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

ロバート・R・マキャモン「ミステリー・ウォーク」

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当時、ポストキングとしてクーンツが大々的に紹介された年の暮れ(1990年)に、鳴り物入りで登場

したのがマキャモンでした。本書「ミステリー・ウォーク」は、そのマキャモンの本邦初訳作品。

本書を刊行したのが福武書店だったために長らく絶版だったのですが、一昨年、創元文庫から復刊されま

した。それもいまでは品薄状態みたいですが(笑)。

当時から、マキャモンの初期作品はキングの二番煎じだといわれていました。事実、この「ミステリー・

ウォーク」は「デッド・ゾーン」の、「奴らは渇いている」は「呪われた町」の、「スワン・ソング」は

「スタンド」の、「マイン」は「ミザリー」の二番煎じだといわれても仕方ないほど、その物語世界は似

通っていました。

しかし、ぼくは好きでしたね。似通った題材でも、おもしろいものはおもしろい。

本書の主人公は、死者の魂を鎮める能力を母から受け継いだビリー・クリークモア。彼の住む町に、治癒

の奇蹟を起こす少年がやってくることから物語は幕を開けます。

少しナイーヴな少年の成長を描くと共に、徐々に明確になっていく善と悪の闘い。アメリカ南部を舞台に

ダークな色調を前面に押しだした淡々とした味わいの佳品でした。

といっても、マキャモンは人の出鼻をくじく場面が好きなようで、本書でぼくは何度も金玉が縮まる思い

をしました(笑)。生理的に嫌なんですよね、こういうのは。ほんとうに、ビビッてしまいます。

というわけで、同時期にステージに躍り出たクーンツとマキャモン、どちらに軍配を上げるかと問われれ

ば、迷うことなくぼくはマキャモンの名を上げたいと思うようになりました。

そんな彼の代表作は、やはり「少年時代」でしょうね。実はこの本、まだ読んでません。「遥か南へ」も

然り。新作が紹介されなくなってきたので大事に読もうと思っていたら、いままで読まずにきてしまいま

した。そうこうしている内に一昨年見事に復帰を果たしたマキャモン。その復帰第一作が「魔女は夜ささ

やく」でした。

これは素晴らしかった。心から堪能しました。この話は、また今度致します。

今回はこのへんで。