読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

古本購入記  2010年2月

2月はなんだかストレスの溜まる月だったみたいで49作品52冊も古本を購入してしまった。自分を抑 えられなかった。まだまだ煩悩にとらわれ続けている不惑でございます。というわけで無駄口叩かず購入 本書いていきましょうか。 「復讐するは我にあり(上…

ぼくの本の接し方

ゆきあやさんのとても楽しい記事『ゆきあやと語ろう!3 ~積んどく?読んどく?~』では、みなさんそれぞれの本に対する気持ちが真摯に語られていて、ほんと楽しくコメント欄を拝見させていただきました。で、その時にぼくなりの意見も述べたのですが、ゆき…

図子慧「ラザロ・ラザロ」

とにかく、この人が気になって仕方なかったのだ。特にこの「ラザロ・ラザロ」はタイトルといい、丁度よさげな本の分厚さといい、ぼくの好奇心を最大限にくすぐってくれたのだ。 ラザロとは、みなさんもご存知のとおりヨハネの福音書で描かれる死から蘇った男…

ロンドンの『あの人』

夜の団地を見上げると、すべての階のベランダから白い顔が覗いていたなんていう総毛立つような夢をみたあと場面が変わって黄昏のロンドンにぼくはいた。そこは、ぼくが想像するロンドンであって、実際のロンドンではない。だからそこにはビックベンもパディ…

リチャード・ライト「ブラック・ボーイ  ある幼少期の記録」

祝福されこの世に生を受け、希望ある未来を約束されているはずの人生が、生まれたときから地獄の日々だったとしたら、いったいどうするだろう?この世に生まれたことを悔やむような人生を生きねばならないとしたら、あなたはいったいどうするだろうか? ぼく…

デーナ・ブルッキンズ「ウルフ谷の兄弟」

図書館に行ったときに、たまたま新刊コーナーにおいてあったので借りて読んでみた。新刊といっても、本書は1984年に一度刊行されているようで今回評論社から『海外ミステリーBOX』という新レーベルの一冊として復刊されたという経緯らしい。本書は1…

小島達矢「ベンハムの独楽」

まずね、このタイトルが秀逸なのね。ベンハムの独楽って、いったいどゆこと?と思ってしまうのだ。この名前は知らなくても、この独楽のことは知ってる人は多いんじゃないかな?白と黒しか使っていない模様を描いた独楽を回すと、そこに色が見えるというのだ…

牝鹿の死

眠りから覚めると、ぼくは死にかけている牝鹿に寄り添っていた。お互い下半身を湖に浸けた状態で横た わっており、静かな木漏れ陽がぼくたちに降りそそいでいた。ぼくは少し身を起こし、あらためて鹿の大 きな身体を見渡した。強い毛が手のひらにざらつき、…

古本購入記  2010年1月

新年一月に購入した古本は33作品35冊。まあ、買いも買ったりだ。われながら驚いてしまう。それだ け欲しい本との出会いがあったということなのだが、それにしても多いな。いろいろなジャンルにまたが っているのもいつもの通りだが、これがダメなんだろ…

スティーヴン・キング「夜がはじまるとき」

キング最新短編集「夕暮れをすぎて」の二分冊後編である。本書には六編収録されている。タイトルは以下のとおり。「N」「魔性の猫」「ニューヨーク・タイムズを特別割引価格で」「聾唖者」「アヤーナ」「どんづまりの窮地」 今回も前回にもまして楽しめた。…