読書の愉楽

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エマ・テナント「続 高慢と偏見」

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 高慢の象徴として描かれていたダーシーと結婚した偏見に凝り固まっていたエリザベスのその後が描かれている。豪華の極みのペンバリーの館での結婚生活は幸せ一杯だと思われていたのだが、エリザベスは子どもに恵まれないことで悩んでいた。そしてそれが原因でダーシーの愛情が遠のいていってるのではないかと危惧していた。

 というのが導入部。これから話が広がっていくわけなのだが、またまたいかにも俗物的な人物が出てきたり、エリザベスがああでもないこうでもないと悩んだりと、本家「高慢と偏見」を踏襲した展開となっていく。概ね本書に対しての評は、よくない。本家の雰囲気が感じられないとか、ユーモアに欠けるとか、エリザベスが別人になっているとか・・・・etc。

 確かに、本家に比べて、ここで描かれるエリザベスは思い悩んでばかりいる。子どもが授からないのは自分のせいなのではないかとか、ダーシーはやはりプライドの高い鼻持ちならない男だったのではないかとか、答えの見えない悩みについていつまでも考え続けている。だが、結婚生活とはそういうものなのではないだろうか。それまでの惚れたはれたの浮ついた気持ちだけで続けていけるわけではないのだ。お互いが好きで生涯を共に生きようと結ばれるわけだが、所詮二人は他人同士、一緒に過ごせばお互いの嫌な面も見えてくるし、所帯をもつことによって上辺だけで取り繕うようなドラマみたいなときめきは薄れていくのである。まあ、そう言ってしまえば身も蓋もないのだが、結婚して所帯もつというのは、そういう展開になることが多いといえるだろう。

 ちょっと脱線したが、だから本書の展開は頷けるのである。結婚までが恋愛で、結婚してからは挑戦なのだ。その紆余曲折を描いている本書は、まさしく人生経験が豊富なこの作者でしか描くことのできないものであり、まったくもってうまいシミュレーションであるといえるだろう。

 というわけで、これでようやく19世紀のイギリス田園地帯からオサラバできそうだ。いやあ、長かったなぁ^^。