嘘をあやつる少女が男を殺した。男は天に目を向け、法悦の表情でこの世を去った。
その後少女は南に向かい、道端にいた野良犬を蹴り殺し絶頂に達した。
少女の行方は知れない。あとには男と犬の骸のみ。
ぼくはその光景を目の当たりにし戦慄と恐怖を味わったが、同時に快楽も感じていた。
天から見下ろす光景として一連の出来事を俯瞰したぼくは、やがて自分の身体に舞い戻りカチッという音
とともに同化した。
まるでロボットに搭乗するみたいな感覚だなと思ったのも束の間、ぼくの目の前に大きな山が出現し、理
由もなくがむしゃらにその山を登っていくことにした。
山は険しく、おそろしく剣呑だった。道はなく、草木がはびこり、ツタが節操なくからまっている。何も
手にしてないぼくは、前に進むことさえ儘ならず瞬く間に傷だらけになってしまった。
どうしてこんな事してるんだろう?
少女の行方が気にかかる。