個人的に気になる本が秋から年末にかけてたくさん刊行される。
まずはほんと久しぶりなのだが舞城王太郎の新刊が刊行された。うれしいかぎりである。読みもしないう
ちから喜んでいるのもなんだが、舞城君に関しては『恋は盲目』状態になっているので仕方がない。たと
え読了して不完全燃焼だったとしても彼を心酔する気持ちは変わらないだろう。
待たされたという意味ではミステリーランド新刊の山口雅也もだいぶ待たされたくちだ。「奇遇」や「チ
ャット隠れ鬼」なんて作品も出ていたが、純粋なミステリという点であまり関心が向かなかった。その点
今回はジュブナイルとはいえ、純粋なミステリのようなので期待は高まる。
気になる本が単行本ばかりなのが懐具合がさびしい身にとってはほんと辛いのだが、論創海外ミステリか
ら出たジョン・ブラックバーン「闇に葬れ」も非常に気になる。いまだに「小人たちがこわいので」を読
んでないのに先にこっちを読もうとするのもおかしいのだが、気になるものは仕方がない。
ガルシア=マルケスの大作「コレラの時代の愛」や、すでに刊行されている「わが悲しき娼婦たちの思い
出」も正直手元に置いておきたい本である。これらをみんな購入していたら大変なことになってしまう。
国書刊行会からは『短編小説の快楽』という新しいシリーズが今冬から刊行される。第一弾はウィリア
ム・トレヴァー「聖母の贈り物」ということだが、アイルランドが生んだ稀代のストーリーテラーなんて
すごく惹かれてしまう。
転じて文庫に目を向ければ、すでに刊行されているのだが昨年新訳で刊行されたナボコフの「ロリータ」
がもう文庫になって登場した。いままで敬遠してきたが、これもいつかは読まなくてはいけない作品だと
思う。新訳といえば光文社も古典文学を新訳で続々刊行していってるのだが、今月出るシャーロット・ブ
ロンテ「ジェイン・エア」は、これを機会に是非読んでおきたいと思っている。なにしろ訳者があの小尾
芙佐なのだ。これは買いでしょう。
いろいろと読みおとしている名作、傑作が多すぎて、もう何から手をつければいいかわからなくなってき
ているのに、この刊行ラッシュである。本を読む時間も限られてる上に遅読ときてるから気ばかり焦る。
う~ん、これって贅沢な悩みなのかなぁ。