

実存する古書「ヒュプネロトマキア・ポリフィリ」に隠された秘密が多くの人の人生を狂わせる。プリン
ストン大学を舞台にこの魅惑的な謎が五百年の時をこえて解明されるのか?
といった感じの見出しがぴったりくる本書は、まずその問題の本「ピュプネロトマキア・ポリフィリ」を
あるこの本は、あまりの難解さゆえに一般には知られず好事家や研究者のみが取り上げるだけの本でもあ
ったそうである。
では、どこが難解なのか?タイトルはラテン語で「ポリフィーロの夢の中における愛のための苦闘」とい
う意味なのだそうで、要するに夢見る男を描いた世界最長の書というわけなのだ。しかし、そのような
飲み込んで、まどろっこしく長々とイタリア語、ラテン語、造語を散りばめて書かれており、この本にく
らべればあのプルーストの大作でさえかすんでしまうほどなのだ。
こんな本が実在していたとは!まったく知らなかった。トリビアだ^^。本書の要の謎の解明なのだが、
さまじいオーラが出てて、これは胸に残った。なんか変に感動しちゃったなあ。
かといって、本書をベタ褒めする気もない。というのも、主人公のトムと彼の友人達そして恋人のケイテ
ィを中心に物語が進められてゆくわけなのだが、本書の語りは過去を振り返る回想の形式で語られる。そ
の時系列がなんだかしっくりこない感じがした。それと、登場人物達の言動についていけない部分があっ
た。倫理的、道徳的とかじゃなくてエリート大学生の頭の回転の速さにぼくがついていけなかったといっ
たほうがいいのかな^^。
というわけで、いろいろ好き勝手書いてたが、要するにどうなんだといわれれば総合的に良かった。なに
ぶん、謎の真相の衝撃がまだ残っている。いい夢みさせてもらったなあと思うわけだ。ほんと、この真相
がほんとなら世界がひっくりかえる発見だ。ロマンだな。本書が出た当時は、話題の「ダ・ヴィンチ・コ
ード」に便乗した本だと思ったが、読んでみれば、これはこれでよかった。
尚、本書の真相の場面はデヴィッド・マドセン「グノーシスの薔薇」にも登場する。この本の紹介ページ
興味のある方は是非。