あまりにも直球すぎて、完全にやられてしまった。
土曜に献血に行くついでに立ち寄った古本屋でなんとなく買ってしまった本書。献血ルームで読み始めたら、ついつい引き込まれてしまった。
19歳の予備校生 歩太と27歳の精神科医 春妃との短い恋愛を描いている本書は、せつなさにおいてあまりにも深い余韻を残す。気持ちが掻き乱される読後感とでもいおうか。結末が予想できるにも関わらず、やはりラストでガツーンと心に響いてしまうのだ。
類型を脱した人物造形などなく、登場人物はなべてみなステロタイプである。にも関わらず、それが妙にしっくりとツボにはまってしまう。
とにかくせつない、せつない、せつない。
歩太の苦労を背負っていながらも、年上の女性を必死で守ろうとする青臭さも、春妃の年のわりにすぐ弱さを見せる儚げな振る舞いも、どうにもならないくらいせつない。
本書を女性が読めば、どうなのだろう?同じくらいせつなく感じるのだろうか?
とにかく村山由佳はこの先も読んでいきたい。遅まきながらファンになってしまったのだから、しょうがない^^。