これはねえ、まったくもってうれしくなっちゃう本ですよ。
まず、全体からにじみ出ているユーモアがいい。語り口の軽妙さが、まったく新鮮で壁に頭を打ちつけたくなるほど楽しい。
例えばそれは、とんでもない前置きから物語へと入ってゆく各章の楽しさであり、例えばそれは、途方もない見事なまでのセンスを持った素晴らしい比喩であったりする。
キャラクターにしても、みなそれぞれ真面目に世界から外れており、否定的なことといったら、宇宙的規模で果てしないものである。
だが、それでいて物語はなんの破綻もなく、完璧に進行していくからたいしたものだ。あまりにも魅力的な親指姫を描いたこの物語は、アメリカを代表する忘れてはならない作品である。そう言いきっちゃう。