これは、おもしろかった。
まだSFにも超未熟な時期に読んだにもかかわらず、大変楽しんで読了したおぼえがある。本書はパラレル・ワールド(多元宇宙)物の傑作なのだ。
書かれた時代が古いから、いまの時代からみれば理論なんか子どもの屁理屈くらいにしか感じないかもしれないが、そこはブラウンのこと巧みなストーリーテリングで引っぱりまわし、読者を翻弄するさまは、いま読んでもまったく見劣りしない。
主人公であるキース・ウィントンは、月ロケットの爆発によりもうひとつの世界に飛ばされてしまう。
同じ世界のように見えるが、その世界では科学の発展が歴然と違っていた。人類は宇宙への進出を成功させ、あろうことか異星人と戦争までしてるのである。
事態を把握したウィントンは、元の世界に戻るべくさまざまな試みに挑戦するが、やがて彼自身も異星人のスパイの容疑をかけられ追われる羽目になる。
ストーリーの語り口は一級品。展開もよどみなく構成も巧み。話自体もハッピーエンドで気持ちいい。
ユーモアもあり、サスペンスもある。
う~ん、なかなかのオススメ品ですよ本書は^^。