読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

舞城王太郎「好き好き大好き超愛してる。」

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この人はハズせません。もう溺愛しちゃってるんで。

本書には二つの短編(中編?)が収録されている。しかし、何だこのタイトルは?

この超バカっぽいタイトルは、しかしいつものことながら舞城君の作戦なのだ。

この超ラリパッパなタイトルと内容とのコラボがたまらない。

 表題作で描かれるのは『最愛の人の死』なのだ。最愛の人を失う悲しみが、さまざまなシチュエーションで激しくせつなく語られる。もしかして舞城君も実体験してるんだろうか?そう思わせる真剣さがあった。

 次の「ドリルホール・イン・マイ・ブレイン」もかなりブッ飛んだ短編で、こちらはアイデンティティの問題を扱っている。舞城君はむちゃくちゃやってるように見せかけて、しかし何もかも計算ずくだ。

 だから好きだ。太くて、しっかりした芯が通ってる。

 舞城王太郎は血まみれの小説を書きながらも、やさしさと愛に満ちている。ようするに甘いのだ。

 そこらへんのギャップがたまらない。

 はやく、どーんと長い長い長編を出してくれないものだろうか。

 舞城ワールドにどっぷりと漬かりたい。

 ぼくはそれを求めてる。