このバークリーという作家は、ぼくの中ではミッシングリンク的存在だった。
彼の代表作といえば、周知のとおりやはり「毒入りチョコレート事件」なのだが、迷探偵シェリンガムが
前面に出てて、なおかつ評判のいい本書を、記念すべき初読にえらんだ。
『甦る本格ミステリ黄金時代』を堪能した。確かにトリックはクリスティやブランドの作品と同類のも
のだったがそこはバークリー、構成でひねって見事に着地成功して類似をさけている。
これを、まだミステリかじりかけの頃に読んでいたら、正直ブッ飛んでいたことでしょう。
ラストのどんでんにつぐどんでんは、冗談なんだかわけがわからないうちに一応終わって、さらにエピ
ローグで真相が待っているというこの多重解決の手際のよさには感心した。まったく、ウマイ。
新たな信仰の対象が誕生した。バークリーはブランドと並ぶひねくれものだ。
まさに一筋縄ではいかないおもしろさである。