読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

ニ口症とピーコーヒー

 ルーマニアの兵士たちが、世界で初めて羅患した病気のことを知る。

 五人の兵士たちがコウモリと蛇をみつけて、蛇にコウモリの血を吸わせ、そしてその蛇の血をみんなで飲んだ。なぜそういう事をしたのかはわからない。とにかく、そういう事をしてしまったのである。

 結果、かれらの血中でF14アセトアンフェニンが増加して、アンシアミンが脳内に大量に放出され、そのため二口症(ふたくちしょう)になって死んでしまったのである。

 二口症とは、二つ口がなければ呼吸が追いつかないという意味でつけられた病名である。ようするに窒息だ。

 ぼくはこの事実を知って、これはブラド・ツェペシュの呪いに違いないと直感した。

 血を飲むという行為は、かのドラキュラを彷彿とさせるではないか。場所もルーマニアだし。

 これは、大変なことだ。世界に蔓延したらエライことになっちゃうぞ。

 でも、気がつけばぼくは喫茶店にいる。

 カウンターの中でコップを磨いている。

 と、そこへドカドカと七人のお客が入ってきた。

 それぞれ口々に注文をいってくる。

 でも、その中に一つだけわからないものがあったので、正直に訊いてみた。若いおねえちゃんがたのんだ『ピーコーヒー』である。なんなの、それ?

 ぼくが尋ねると、おねえちゃんの代わりに、連れの男が答えた。

 「それは、煎ったピーナッツを粉にして、コーヒー豆と混ぜてドリップした飲み物だ」ホォ~そんな飲み物があったのかと思っていると、横槍がはいった。正面に座っているおばさんである。

 「違うわよ、ローストしちゃダメなのよ。そのまま粉にしてコーヒー豆と混ぜてドリップするのよ」

 これは、このおばさんの好みなのか、それとも一般的な飲み方なのかどっちなんだろう?と頭を悩ませた

 ところで目が覚めた。