この本のあらすじを要約するのは、解説で高橋源一郎氏が書いているようにほぼ不可能。
ニューヨークと冬と白馬と泥棒。これらが渾然一体となって語られる神話とでもいいましょうか。
はっきりいって、これほど完璧な作品はないでしょう。
上下巻あわせて、ほぼ1000ページというこの大長編は本の紹介からの引用になりますが、チャールズ・ディケンズの奇怪な登場人物、ガルシア・マルケスの魔術的リアリズムの手法、ジョン・アーヴィングの悲喜劇性、トールキンの神話創造力をひっくるめた現代アメリカ文学を代表する傑作だといえるでしょう。
本書の主人公は、まさしく大都会ニューヨーク。そのニューヨークが様々な人間たちを翻弄し、運命によって導き、大きくうねりながら増殖し崩壊していく。
本書には、都市がまるごと、世界がまるごと、世紀がまるごとつまっているんです。
