読書の愉楽

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山田悠介「その時までサヨナラ」

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 山田悠介の作品を読むことになるとは思ってもみなかったが、知人にすすめられて本書を読んでみた。で、これがけっこうスルスルとおもしろく読み終わったわけなのだ。以前から山田悠介というと壁本だとか、文章が滅茶苦茶だとか噂できいてたけど、文章に関してはまったく気にならなかった。話の展開もかなりベタな展開だけど、壁に投げつけたくなるほどじゃない。

 

 本書で描かれるのは救済と贖罪。主人公は出版社に勤めるバリバリのエリート社員、森悟。新人作家を発掘し、それが大当たりして社内での株も急上昇だ。しかし、仕事人間の彼は家庭を顧みず、愛想をつかした妻の亜紀は息子を連れて実家に帰ってしまっていた。そんな折、福島で大地震が起きる。遠い地で起きた地震に自分は関係ないと無関心だった悟だが、思わぬ一報が入り、その地震による列車の脱線事故で妻が死亡したことを知る。一緒にいた息子の裕太は奇跡的に助かるが、仕事第一の悟は息子を引き取らず義理の両親に預けてしまおうと考えるが、そこへ妻の親友だという女性があらわれ、息子に無関心で家事もいっさいできない悟を教育しはじめるのだが・・・・・。

 

 というのがおおまかなあらすじ。もうこれだけで話の行く末が見えてくるようだが、これが読みはじめるとツルツルといけちゃうわけですよ。ストーリー展開的には、ちょうど二時間ドラマを観ているような感じでお約束的な進行なのだけれど結構しっかり描かれているので、投げ出すことなくラストまで引っぱっていかれたし、ほんとこれが読ませるのだ。

 

 山田悠介、もっともっとダメダメな作品しか書かない人だと思っていたけど、認識をあらためました。中高生に人気みたいだけどこの人がとっかかりで本好きが増えるならいいことだなと思える一冊だった。

 

 読んでよかった。