読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

映画「ザ・ミスト」

イメージ 1

今日たまたま実家の衛星放送でこれを観た。観よう観ようと思って観たのではなく、たまたまつけたらや

ってたので、観たのである。そしてラストまで釘付けになって、エンディングで凄い衝撃を受けたのだ。

いま、この記事を書く前に「ザ・ミスト」で検索したら、ちらほらと映画評があったので読んで見たらこ

のラストのことは結構有名だったみたい。でも、ぼくはそれを知らなかったのである。だからなんの予備

知識ももたず映画を観てて、その救いのないラストに心底驚いちゃったというわけ。

この「霧」の原作を読んだのは、もう二十年くらい前である。だから正直ストーリーの細かい部分は忘れ

てしまっていた。でも、正体不明の霧に包まれたスーパー・マーケットの中に閉じ込められた人々が不気

味なモンスターたちに襲われるという骨子は憶えており、この中編がものすごくおもしろかったという記

憶は残っていた。本当のこといって、キングの作品の中で最初から最後まで興奮して読みきった作品とい

えば、この「霧」が真っ先に思い浮かぶほど、おもしろかったのだ。ストーリーのおもしろさも勿論だが

なにより中編という適度な長さが幸いして、まさしく一気読みしてしまう作品に仕上がっていたのだ。そ

れの映画化作品だからおもしろくないわけがない。ひと目みたらもう作品世界に引き込まれてしまった。

映画を観ていて忘れていたストーリーの細かい部分は少しづつおもいだしていった。得体のしれない恐怖

に翻弄され、疑心暗鬼に陥っていく生き残りの人々。モンスターの恐怖と人間自身の恐怖が交互に描かれ

サスペンスを盛りあげていく。モンスターの造形もそれぞれ独特で気味悪く、これが実際襲ってきたら絶

望のあまり息の根が止まってしまうんじゃないかと思ったくらいである。

で、ラスト。そのあまりにも救いのないエンディングにしばし呆然。え?こんな終わり方だったっけ?思

い出せないのがもどかしいが、絶対にこんな救いのない終わり方じゃなかったはずだ。キングの本で救い

のないラストといえば「クージョ」ではないか。あれもストーリーの詳細は忘れてしまっているが、ショ

ッキングなラストだけは憶えている。だから「霧」もこんな終わり方だったなら、絶対記憶に残っている

はずだ。と、そこで思い至った。そうだ!ここは実家だから本があるじゃないか!

で、ごそごそと引っ張り出してきて確認してみた。ほら、やっぱり。まったく違うラストだ。この作品を

読んでラストでショックを受けた記憶がなかったわけである。

しかし、この映画のラストはすごく引きずるなぁ。いろいろ調べてみると、キングもこの映画の別エンデ

ィングに舌を巻いたのだそうである。自分がこの作品を書いた当時にこのラストを思いついていたら、迷

わずこのラストにしていたと言ったとか。

いやあ一年遅れで申し訳ないのだが、映画のショックがあまりにも強かったので、記事にしてしまった。

尚、この映画エンドロールも辛抱して観てください。エンドロールの後半ではまた複雑な心境になってし

まうこと間違いありません。