読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

殴られて

ぼくを殴ったね。

とってもとっても痛かったよ。

いじめるのが楽しいかい?

痛めつけるのは楽しいかい?

目が怖かったよ。

いつもと違う光が映っていたよ。

ぼくも、小さい頃よく虫を殺していたんだ。

あのときのぼくも、君みたいな目をしていたのかな。

あの子が見てたよ。

ぼくが殴られているところを、見ていたよ。

でも、なんだかギラギラした目だったんだ。

ぼくは、それを見て怖くなったよ。

まえに道で偶然出会ったとき、あの子はとてもきれいな目をしていたのに。

ぼくは、それを見てあの子のことが好きになったのに。

なのに、いまのあの子の目は興奮でギラギラしてたんだよ。

ねえ、どうして人は誰かをいじめるの?

どうして、人を傷つけるの?

世の中がうまくまわっていくために、誰かが殴られなきゃならないの?

ねえ、どうして人は誰かを生贄にするの?

そうしなきゃ、人間は生きていけないの?

ねえ、どうしてあの子は殴られるぼくを見て、あんなにギラギラしているの?