読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

G・ガルシア=マルケス「エレンディラ」

イメージ 1

ラテンアメリカではなんでも起こる。

空から年老いた天使が落ちてくるし、海の底にはもうひとつ都市があるし、指先ひとつで病を治す人がい

るし、雲に向かって銃を撃ち、雨を降らそうとする人がいたりする。

およそ普通じゃない状況がさらりと語られる。みんなおとぎ話だ。でもラテンアメリカなら、そういうこ

とがあってもおかしくないと思えてしまう。

これぞ魔術的リアリズム。いまでこそ、こういう手法はいたってオーソドックスなものに変わりつつある

が、この手法の使い方はとてもむずかしい。やはり本場はラテンアメリカなのだ。

日本とは程遠い向こうでは、人間同士のコミュニケーションのとり方や情報の伝達方法が、おおらかで厭

味がなくどこかホラ話めいている。そういった土壌で培われた技術だからこそ、いきてくる。

だからラテンアメリカでは、なんでもありになってしまうのだ。

みんな素朴で気取らなくて、どこか怒りっぽい。様々なエピソードからこういった印象を受けたとしても

おかしくはないだろう。

マルケス流の『祖母の語り口』が充分堪能できる本短編集は、マルケス初心者にはうってつけの本だと思

う。彼の語りだす話にはついつい乗せられてしまって、嘘だとわかっていても楽しく心地よくスラスラと

読んでしまう。そしていつしか彼の地にあこがれてしまっているのである。