読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

米澤穂信「愚者のエンドロール」

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ライト系が続きます^^。こういう本は気軽に読めるからいいです。

いまミッシェル・フェイバーの「天使の渇き」という本を読んでいるのだが、これが上下二段組で80

0ページを超すというすごいボリュームなのだ。かの「五輪の薔薇」と同じ分量だというのだから長い

わけだ。こういう長いのを読んでると、ちょっと息抜きをしたくなってくる。そこで手軽に読めちゃう

ライト系を続けて読んでみたワケなのだ。

前回「氷菓」の感想で好き勝手なことを書いてたのだが、少し良識をあらためた。相変わらず登場人物

には個性が感じられず印象が薄いのだが、話としてはこちらの方がおもしろかった。

未完の自主制作映画の結末を推理するという試みがミステリ心をくすぐる。バークリーのあの名作(ぼ

くは未読だが)の本歌取りということで真相に向かって様々な推理が語られるのだが、各推理の出来も

それを覆す奉太郎の推理も少し弱い。しかし、真相にいたってやはりそのまま終わるはずはなく、探偵

役の奉太郎自身が苦い思いをするのである。ささやかな探偵の苦悩だ。

今回、傍観者というスタンスで自身を探偵だと認識していなかった奉太郎が、探偵の役割を意識するよ

うになる。そう、自分の能力に自信を持ったわけだ。しかし彼は打たれる。いいですね、この展開。

古典部の他のメンバーに指摘されて自身の推理に疑問をもつ奉太郎。好きだな苦悩する探偵。

もう少し登場人物に人間味があったら、もっと好きになれるのに。だって、みんな人間の情動に欠けて

るんだもの。