この本の仕掛けは素晴らしい^^。
読んでトリックがわかった人は、思わず誰かに試してみたくなるに違いない。ぼくもそうだった。
ヨギ・ガンジーのシリーズは本書がはじめてだったのだが、ミステリー的には普通の作品だった。
それほどのサプライズもなかった。
本書は宗教団体を舞台に教祖の継承問題を扱ったミステリーだった。なかに登場する小冊子『しあわせ
の書』がメインの謎に絡んでくるのだが泡坂氏は大胆にも本書で使われているメイントリックを・・・
ああ、これ以上は書けない。書くことはできない。
とにかく、マジシャン泡坂妻夫の面目躍如たる大胆で、素晴らしく、驚嘆すべき大きなたくらみが本書
には隠されているのである。
しかし、本書が刊行されたのは1987年。もう19年も昔のことだ。いまでは絶版なのかな?
さらに驚くべきなのは、本書の次に刊行されたヨギ・ガンジーシリーズ第三弾「生者と死者」である。
この本は16ページごとに袋閉じされている。すごい製本だ^^。こんな文庫は見たことない。
この本の読み方は、まず袋閉じをしたまま読む。そうすると「消える短編小説」が読める。そして、袋
閉じを破ってみると長編「生者と死者」が現れるという仕掛けなのだ。なんとスゴイことを考えるもの
だ。こういうことを思いつくのもスゴイとおもうが、それを本して出版しちゃう出版社もエライ^^。
とにかく、ただ本を読むだけじゃなくてうれしい驚きを与えてくれるシリーズなのである。