読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

ロバート・シェクリィ「人間の手がまだ触れない」、「宇宙市民」

 シェクリイは、一時期短編の名手として名を馳せた。

 

 読めばわかるが、実際シェクリイの短編は小気味よくユーモアを漂わせ、たんなる奇想的な作品に留まらない機智にあふれている。

 

 彼が好んで描くのは、異星人とのファーストコンタクトだ。

 

 今回紹介する二冊の短編集は、早川文庫から出てた二冊である。

 

 ぼくは「宇宙市民」のほうから読んだ。

 

イメージ 1

 

 内容がどうも筒井康隆に似ているなと思っていたら、解説でそのことに言及していた。シェクリイは日本の作家に多大な影響をおよぼした人なのだそうだ。

 

 温かみと風刺があり、アイディアストーリー特有の機智にあふれている。

 

 「触るべからず」、「徘徊許可証」の偉大な勘違いには笑ってしまうし、「狩猟の問題」の憎めないユーモアや、タイムパラドックスの逸品「時間泥棒」などバラエティーに富んだ楽しさだった。

 

 これと比べて「人間の手がまだ触れない」のほうは、少し落ちる。

 

イメージ 2

 

 表題作と映画にもなった「七番目の犠牲」が良かったくらいだろうか。

 

 しかし、シェクリイはいい。古きよき時代のSFのもつ温かさがあり、安心して読める。スタージョンの次は、このシェクリイが再評価されないだろうか?