丁度一年くらい前にでた本である。
全体的には○。◎じゃない。
月並みな展開といえば月並み。しかし、映画的に解釈すれば、これはなかなか印象に残る映画になりそう。
作者があまりにも登場人物にたちに対してやさし過ぎるので、全体テーマとしての『許し』が強調されてないのが少し残念。会話が活きてないのもちょっと残念。
アメリカのド田舎の自然と、そこで生活する真っ当な人たち。過去に縛られ、それを引きずる人たち。
憎しみとそれを乗り越える大きな愛。
起こった事柄の表面だけで判断しては早計だとわかっていても、ことそれが肉親にまつわる事だと、どうしてもそうなってしまう。
罪を背負わす対象が、どうしても必要になってしまう。それがなければ、自分が乗り越えられない。
『許す』という行為がいつ成されるのか。
どうすれば『許す』ことが出来るのか。重いテーマであり、幾多の作品で描かれてきたこの一種の贖罪テーマが、本書では二人のキーマンによって微妙にボカされている。
この二人が絡んでくることによって、一本の筋が分散されて『許し』の行為が薄れてしまう。
じゃあ、『許し』を除外して接してみたらどうなんだろう?
そうすると、映画的なクライマックスの残る作品になってしまう。
ちょっとおもしろいでしょう?