読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

スティーヴン・キング「夏の雷鳴   わるい夢たちのバザールIⅡ」

 

夏の雷鳴 わるい夢たちのバザールII (文春文庫)

 

  昨年刊行されていた二分冊短篇集のⅡのほうであります。二冊一緒に購入したはずなのに、Ⅰの「マイル81」がまったく見当たらないので、本書から読んだんだけど、これはどっちから読んでもまったくモーマンタイ。

 各編にキング自身のコメントがついていて、作品の成立過程や思うところなんかが綴られているのがご愛敬。自作について語るって、なかなかこっぱづかしい行為だと思うんだけど、キングくらいのベテランになると、フランクに肩の力を抜いて書いているのが感じられて、いいよね。

 で内容なのだが、これは良くも悪くもなしってところかな。さほど印象に残る作品もないけど、読んでつまらないものはない。気軽に読める短編集ってとこかな。収録作は以下のとおり

 「ハーマン・ウォークはいまだ健在」

 「具合が悪い」

 「鉄壁ビリー」

 「ミスター・ヤミー」

 「トミー」

 「苦悶の小さき緑色の神」
  
 「異世界バス」
 
 「死亡記事」

 「酔いどれ花火」

 「夏の雷鳴」

 以上10作品。いつものホラーもあるし、野球もあるし、ノンホラーもあるし、SFもあるし、ユーモア小説まである。バラエティーに富んでいるのは間違いない。中でも興味深いのはめずらしくハッピー・エンドで終わる愉快な「酔いどれ花火」かな。ヒートアップも予想つくし、最後は大惨事になるんだろうとわかっているんだけど、このラストは思いつかなかった。映像化が企画されているみたいだけど、実現したらぜひ観てみたい。 

 あとは、まあ、そんなもんかな。ってどんなもんだよ!