タロットカードの吊るされた男の絵柄に因んで首吊りを題材にした短編アンソロジー。ラインナップは以下のとおり。
「アウル・クリーク鉄橋での出来事」アンブロース・ビアス
「首吊り三味線」式貴士
「百物語」岡本綺堂
「首つり御門」都筑道夫
「蜘蛛」H・H・エーヴェルス
「首吊り気球」伊藤潤二
「首吊り病」寺山修司
「ビー玉の夢」ひかわ玲子
「梟林記」内田百けん
「蜘蛛の糸」戸川昌子
「絞首刑」かんべむさし
「首吊り三代記」横溝正史
「魔法の砂」ロッド・サーリング
こうやって、新旧国内海外取り混ぜたアンソロジーは、個人的にお得感があって大好きなのである。ビアスと式貴士以外は初めて読む作品ばかり。おもしろいのが、都筑道夫の「首吊り御門」で、これは作者自身が国文学の助教授に講じてもらっている体裁の話で、昔の首吊りに関するエピソードが色々でてきておもしろい。さらに興味深いのがこの話の前に収録されている綺堂の「百物語」にも言及していたり、キングの作法に言及したりと現実がリアルに絡んでくるところ。あとは、初めて読むひかわ玲子の作品が、子どもが主人公ながら扱っている題材が闇深くて印象深かったのと戸川昌子の「蜘蛛の糸」が、ミステリとしてもなかなかの切れ味でおもしろかったかな。
このタロットアンソロジーあと二冊あるんだけど、どこへしまったかなあ?