セラミックの夢しかり。あわい夢でなく、熱病でうなされた時にみるような、追いかけられる夢。
時が澱み、いつも霞がかかっていて、とりとめのない思い出だけが過ぎてゆく。
ただよう匂いは、焚き火の匂い。
少し焦げ臭いが、どこか懐かしく心おちつく匂い。
きこえるのは、鈴の音。近くて遠く胸に響くせつない音。
夜と昼が混ざり合い、なぜか楽しくなるような嵐の前のような奇妙に黄色い空。
夜と昼が混ざり合い、なぜか楽しくなるような嵐の前のような奇妙に黄色い空。
ずっとむかしに忘れてしまった、でも血の中にしみこんでいる暗闇への恐怖、未知なるものへの恐怖を忍ばせて、終わりのない物語がはじまる。
ときにユーモラスで、ときに恐ろしい。
わけがわからず手さぐりで進んでゆく。柔らかいものを踏みつけ、おどろいて足元を見下ろすと女の乳房を踏みにじっているのである。
女は口元から血を吐き出しながら、ニタッと笑う。
あくまでも物語なのだ。これは現実ではないのだ。そう言いきかせながらも、やはり怖いものは怖い。