読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

映画「キサラギ」について

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 映画「キサラギ」を観た。2007年に公開された映画だから随分以前の映画である。評判がいいのは知っていたので、必ずおもしろいはずだと思っていたが、これが底抜けにおもしろい映画だったのだ。

 東日本大震災があり、ここ数日は大好きな読書にも身が入らない日々だったのだが、家人が借りてきたこのDVDを観て少し気を持ち直したので、ご紹介がてらこの記事を書こうと思った次第。

 ご存知の方も多いと思うが、簡単にストーリーを紹介してみよう。

 キサラギとはマイナーなD級アイドル如月ミキのこと。インターネットのファンサイト掲示板を通じて知り合った面識のない男5人が如月ミキの一周忌を追悼するためにとあるペントハウスに集まる。

 和やかな雰囲気で始まるかと思われた一周忌の集いは、しかしだんだんと不穏な雰囲気にのまれてゆく。

 そこで暴かれてゆく如月ミキの死の真相。仕事に疲れて自殺したといわれている彼女の死には、いったいどんな謎が隠されているのか。

 ま、ざっとこんな感じで物語は進んでゆくのだが、「十二人の怒れる男」や「探偵スルース」、「デストラップ/死の罠」、「ダイヤルMを廻せ!」などの秀逸なミステリによくあるシチュエーションの例にもれず、本作も密室劇として描かれている。5人が集まるペントハウスの一室。全編通してその中でのみ話が進行してゆく。途中、回想シーンが挿入されるが、それもコマ撮りのCG合成で描かれるので本筋とは好対照となって話を盛り上げてゆく。

 もちろんまだ観てない方もおられるかもしれないので、詳細は語れないが、ほんとうに本作はミステリとしても秀逸であり、後半の真相に近づいてパズルのピースがピタリとはまってゆく過程はなかなかのものである。だから、この映画は二度観てもおもしろいのだ。真相がわかってから見直すと、あの場面でのあの表情はこういう意味だったのかとか、あの時の台詞にはこんな意味が隠されていたのかとか、新たな発見を楽しめるというわけ。

 また、本作はミステリとして素晴らしい上に、コメディとしても最高におもしろい作品で、随所にくすぐり所があってかなり笑える作品ともなっている。

 とにかく、まだ観てない方は必ず観ていただきたい傑作映画なのである。

 なんていって、観てなかったのは、ぼくだけだろうけどね。

 では、最後に本作のキャストを紹介しておこう。


・ 家元/小栗旬

・ オダ・ユージ/ユースケ・サンタマリア

・ スネーク/小出恵介

・ 安男/塚地武雅

・ いちご娘。/香川照之

 あとまだ紹介してない人もいるが、この5人が主役なので、それはいいだろう。

 というわけで、久々の記事をこれで終わりたいと思う。

 東日本大震災で被災された方にはお見舞い申しあげます。また、この地震によって尊い命をおとされた方にはご冥福をお祈りいたしますと共にご遺族の方々にはお悔やみを申し上げます。日を追うごとに被害の状況が明らかにされ、またその被害の甚大さに戦慄しております。今回の地震は本当に未曾有の災害で、まだ余震は続いているし、福島の原発では予断を許さない状況に陥っております。これから復興に向けて日本が一丸となって立ち向かってゆくことになるのでしょうが、その道はたいへん険しいものになるでしょう。実際、自分一人ではいったい何が出来るのだろうと、空虚な思いにとらわれてしまうのが正直な気持ちなのですが、こんなちっぽけな自分でも何かできることはないかと思い、募金をしました。こんなことしかできませんが、はやく被災された方々がもとの生活に戻れることを祈っております。