読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

エリザベス・コストヴァ「ヒストリアン」

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ヒストリアンとは「歴史家」のことを指す。

最初ぼくは「ダ・ヴィンチ・コード」のような歴史の謎+聖書ミステリー+オカルトみたいなものを期

待していた。読みはじめた感触では、大いに期待をそそる雰囲気だった。

しかし、50ページくらいから壮大な歴史ミステリーは壮大な歴史ファンタジーホラーへと変貌してし

まったのである。そうなのか、こういう話だったのか。

当初の期待から外れてしまったことにより、軌道修正もおぼつかずとにかく読み進めていったのだが、

内容的には、かなり読ませると思った。馴染みの薄い東欧を舞台にしているところも新鮮でいい。

話の中心である歴史の謎も、かの人物に焦点をあわせることでこちらの興をついではなさない。

スタートラインさえ間違わなければ、おおいに興奮させてくれること間違いなしなのである。

そう、本書は歴史ミステリーではない。ダン・ブラウンやセオドア・ローッザックを期待してはいけな

いのである。どちらかといえば、スティーブン・キングやピーター・ストラウヴ寄りの話なのだ。

未読の方も多いかと思われるので、多くは語らないでおこう。

好きか嫌いかと言われれば、ぼくは好きである。大いに堪能した。ルーマニアブルガリア、トルコと

いう魔法に彩られた異郷の地を身近に感じた。不思議とこれらの国を舞台にした物語を読んだことがな

かったので、それだけでもかなりの収穫だった。

最後にもう一度言おう。本書は、歴史ミステリーの意匠を借りたホラーである。未読の方は、それを踏

まえてお読みください。