さにあらず。なにが?うーん、ぼくの本書に対する印象がね。前評判の良さから、シリーズ物としてさぞかしおもしろくて、魅力的なんだろうと思っていたのであります。
火消しという特異な分野を扱っていて昔の消防事情に驚くこともあったし、登場するキャラクターそれぞれが領分をわきまえ持ち味を出して描かれているから、場面が混乱せずスッキリしていて読みやすい。しかし、ぼくはそこに不満を感じてしまった。
すべてがステレオタイプに感じてしまったのだ。物語の進行もキャラクター設定もとても巧みだけど想定内。読みながら想像したとおりに描かれて、すべてにおいてカタルシスがなかった。また、でてくる人に悪い人間がほとんどいないということも気になった。中心に据えられる羽州ぼろ鳶組の面々も、みな真っ直ぐで熱くて好ましい。当たり前か。もちろんシリーズになっているのだから、この先なんらかの変化はあるのかもしれないがもう続きはいいかなと思ってしまった。
少し気になったのが人物の出し入れで、主要メンバー以外の人たちの立ち位置と役割及びバックグラウンドが印象づけられなかった。だから、苗字の字が変わってしまっても気にならないのかもしれない。なんのこと?と思った方は、ぜひ本書を読んで確認してほしい。因みにぼくが読んだのは、初版であります。
というわけで、このシリーズもう読まないと思う。ジョー・ピケットのシリーズはいくら読んでも次を待っている自分がいるけど、本シリーズはこういう結果になってしまった。そういうことなのだろう。
