まだまだ知らないことはいっぱいあるんです。あたりまえだ、世界はこんなに広いんだもの。本書を読んでそれを実感した。ぼくは、好奇心旺盛なほうなので初めて接するものにたいして積極的に関わろうとする。特に初めて食べるものに対しては、異常な執着をみせる。しかし、それは基本いままで食べてきた物の延長線上での話だ。
本書で紹介される数々の食べ物のほとんどはまさしくぼくたち日本に住む一般人にとって辺境の食べ物である。だってゴリラ食べようなんて思う?ラクダは?水牛の頭丸ごと煮は?でもまあまだこのへんは『肉』だ。ヤギの糞のスープ(胃の中身なんだけどね)?カエル丸ごとジュース?口噛み酒?いやあ、これらを目の前にしてさあ食うぞという瞬間って、ほんと勇気いるなあと思うのである。
いままで物を食べるに際して、勇気を奮い起すなんてことはなかった。言及してなかったが本書では虫もあれこれ紹介されているのだが、ぼくはそのへんも大丈夫だと自分では思っている。むしろ虫は調理してあれば旨いだろうと思うのだ。そんなぼくでもここで登場する数々の食べ物に関しては、勇気を奮い起してさて口にすることができるだろうかと思うと、まったく自信がないのである。
いままで生きてきて心底食べるのが無理だと思ったのは、キビヤックだった。いや目の前にしてって意味じゃないよ。本で読んだだけなんだけどね。イヌイットやエスキモーが食べるこの究極の醗酵食品は絶対食べることができない・・・・と思っていた。でも、まだまだ世界は奥深かった。こんなに知らないことがあるんだ!こんな世界があるんだ!感動すると共に凄い焦燥感にとらわれるのである。
もっといろんなことが知りたいと思うのである。もっといろんなことを体験したいと思うのである。気持ちはいっぱいあるんだけど、現実は厳しいんだよなあ。