冬の吹く夜に
フラハティ・メアは、やってきた
ツバの大きな帽子に
首から下げた幾つもの石
大きな目には白眼がなかった
悪夢の総称として跋扈する彼女は
読み取れない表情のまま
かすれた声で、こう告げた
「本を読むなかれ。庭の木を切るなかれ。湯を飲むなかれ。引き出しを開けるなかれ。ネコの頭をなでる
なかれ」
わたしは、彼女に捧げ物として
憂鬱のつまった瓶と子どもの泣き声が染みこんだ布っきれを渡した
フラハティ・メアは去った
冬の吹く夜に消えていった
悪夢だけを残して