読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

グロリア・ウィーラン「家なき鳥」

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 この本YAなのにかなり厳しい現実が描かれている。

 インドの片田舎で暮らすコリーは十三歳。父母がなけなしの金を集めてなんとかやりくりした持参金を持って嫁に出される。しかし夫になるはずの十六歳のハリは病に蝕まれていて、結婚後すぐに死んでしまう。強く当る義母。友達になった義妹のシャンドラはコリーの未亡人年金を持参金にして結婚。やさしく接してくれた義父も息子のあとを追うように亡くなってしまう。義母はやがてコリーを『未亡人の町』に捨て去ってしまう。我が身に起こったらどうしょうというような不幸のオンパレード。でもね、こんな不幸づくしなのに本書は暗くなく、むしろ明るいのである。主人公のコリーが逆境に負けずに、前向きに生きていく姿がとても気持ちいい。悩むこと、迷うこと、間違えること、あるいは他人から受ける迫害、妬み、嫌がらせ等生きていく上で立ちはだかる様々な困難に彼女は健気に立ち向かっていくのである。さわやかな感動だ。