都市探検者。
見捨てられた建築物や、遥か昔に建造された地下鉄のあとに潜り込み、置き去られた過去の遺物を探索するクリーパ-(忍び入る者)たち。
本書では、そんな特異で危険な冒険を犯すことに喜びを見出す人たちが体験する一晩の恐怖を描いている。
久しぶりのマレルの新作ホラーだ。このところ少しマレル株が上がってきたのかな?
創元から、あの「トーテム」の完全バージョンも出るみたいだし、なんだかちょっとうれしい。
で本書なのだが、これは軽めの作品なのかなと思って読み始めたら案外しっかり作ってあって驚いた。
東海岸沿いの町アズベリー・パークに建つ100年以上前に建造されたパラゴン・ホテル。ピラミッド型をした異様な外見、いわくつきのホテル・オーナー。
数々の事件を内包したままひっそりと佇むホテルは、クリーパーにとって願ってもない物件だった。
う~ん、魅力的な題材だ。読む前からドキドキしてしまう。
どういう展開になるのだろうと思ってると予想もつかない展開になって驚いた。
予備知識がなかったから、なおさらだ。
そうか、こういう展開になるのか。B級スレスレの線で均衡をたもっている。
いろいろ軽く伏線はられたりして、話がラストに向けて集約されていくのは常套として、まさかこういう展開になるとは思わなかった。
なかなかおもしろかった。
中島らもの作品に「こどもの一生」というのがあるが、あれを思い出してしまった。