この本の魅力は、奇抜な発明品の陳列ではなくその発明品に付随するエピソードにあります。正直いって発明品の詳細な記述にはいささかうんざりします。
しかし、いったんその意味不明の発明品の由来に話が移るとたちまち話に引き込まれてしまいます。
特に印象深かったのは、特殊な薬を脳に注入されて、生前のもっとも運命的な一瞬の場面を演じ続ける死者の件です。数々の死者が演じる様はそれだけでは何をしているのかちんぷんかんぷん。でも、その死者の説明がされるやいなや、その豊かな物語性にたちまち魅了されてしまいます。なるほど、この本は多大なる感銘や、心ゆさぶる感動とは無縁ですが、ひじょうに忘れがたい妙な魅力にあふれています。それにしてもこの人は、奇想にあふれた人だ。読んでソンはありませんでした。
でも、この人も、これ一冊でお腹一杯って感じです(笑)。
しかし、フランスって国は怪物が多いなあ。