本書は角川書店の読者モニターに当選して読ませてもらった。あの平山夢明の新刊だということで思わず飛びついてしまったのだ。
本書には七つの短編が収録されている。タイトルは以下のとおり。
「或るはぐれ者の死」
「或る嫌われ者の死」
「或るごくつぶしの死」
「或る愛情の死」
「或るろくでなしの死」
「或る英雄の死」
「或るからっぽの死」
統一性のあるタイトルからもわかるとおり、本書では七つの異常な『死』が描かれている。それは文字通り主人公の死でもあるし物事の終結でもあるのだが、あいかわらずの平山ワールドが展開していて独特の匂いを発している。しかし、正直にいえば、あの傑作短編集「独白するユニバーサル横メルカトル」などで感じた、デンジャラスな雰囲気の中に光る知性と奇想の融合を存分に味わうほどではなかった。
ぼくの印象としては本書に収録されている作品群はとても小粒だった。それぞれ奇妙でグロテスクなシチュエーションがあり、いつもとおりの無国籍風の人名が飛びかう雰囲気は充分だったが、あの殴られたかのような衝撃はなかった。第二短編集「ミサイルマン」でさえその衝撃は薄れていたし、「他人事」にいたってはあまり読む気がしなかった。というわけで本書が久しぶりの平山短編集だったのだ。少し小粒な印象だと書いたが、それでも中には引っかかる部分はあって、特に気に入ったのは「或る英雄の死」の話の展開。これってかなり破綻していると思うのだが、猫を使っての禁断のあの行為とかボロ家での巨漢兄弟とのやりとりとか、もっと読みたいと思わせる場面にあふれていて楽しめた。
本書には七つの短編が収録されている。タイトルは以下のとおり。
「或るはぐれ者の死」
「或る嫌われ者の死」
「或るごくつぶしの死」
「或る愛情の死」
「或るろくでなしの死」
「或る英雄の死」
「或るからっぽの死」
統一性のあるタイトルからもわかるとおり、本書では七つの異常な『死』が描かれている。それは文字通り主人公の死でもあるし物事の終結でもあるのだが、あいかわらずの平山ワールドが展開していて独特の匂いを発している。しかし、正直にいえば、あの傑作短編集「独白するユニバーサル横メルカトル」などで感じた、デンジャラスな雰囲気の中に光る知性と奇想の融合を存分に味わうほどではなかった。
ぼくの印象としては本書に収録されている作品群はとても小粒だった。それぞれ奇妙でグロテスクなシチュエーションがあり、いつもとおりの無国籍風の人名が飛びかう雰囲気は充分だったが、あの殴られたかのような衝撃はなかった。第二短編集「ミサイルマン」でさえその衝撃は薄れていたし、「他人事」にいたってはあまり読む気がしなかった。というわけで本書が久しぶりの平山短編集だったのだ。少し小粒な印象だと書いたが、それでも中には引っかかる部分はあって、特に気に入ったのは「或る英雄の死」の話の展開。これってかなり破綻していると思うのだが、猫を使っての禁断のあの行為とかボロ家での巨漢兄弟とのやりとりとか、もっと読みたいと思わせる場面にあふれていて楽しめた。
表題作はなんとも救いのない話で、これのラストはなかなかグロくて笑ってしまった。シチュエーションでいうなら、パラレルか近未来が舞台の「或る嫌われ者の死」がおもしろい。しかし巻頭の「或るはぐれ者の死」は、ちょっとありえなさすぎて逆に印象深かった。まさか、こんなこと起こらないでしょ。悲惨さがMAXで味わえるのが「或るごくつぶしの死」と「或る愛情の死」。異常すぎてほんと素敵なくらいだ。
というわけで充分おもしろい内容なのだが、あの平山夢明の作品集としては少し物足りなかったという感じ。だって前回の「ダイナー」が素晴らしすぎたのだよ、きっと。