ミステリーの洗礼をうけたのち、少しづつぼくはその地平を広げていきました。海外作品はいうに及ばず国内にも再び目を向け、傑作、良作を求めて貪欲に読書にはげみました。
このころ出会った本で印象に残っているのは、
川端康成「山の音」
安部公房「人間そっくり」
J・P・ホーガン「星を継ぐもの」
スティーブン・キング「シャイニング」
藤沢周平「消えた女」等々。
中でも「山の音」、「人間そっくり」は、こんな作品書けるなら死んでもいいなと思ったくらいホレ込みました。いまとなってはほとんど内容忘れてしまってるんで、そろそろ読み返すのもいいかもしれない。
こんな書き方もあるのかと驚いたのがキングの「シャイニング」です。
当時、ホラー映画大流行の時代で、キングの作品は軒並み映画化されていて、それを観ていたぼくは『こんなくだらん映画の原作なんて読む価値なし!』と勝手に判断していたのですが、ある時なにかの本で新井素子さんが、『こんなに怖い本は読んだことない』って書かれていて、それほど言うなら一度読んでみてもいいかと手にとってみたのが運のつき。読了した時は、『ぼくは一生あなたについていきます』と誓ったくらいのキング信者に変貌していました(笑)。
それからはキング作品も刊行されているものは片っ端から読んでいきました。
ハズレもあったけど、彼の初期作品はほとんどすべて傑作です。
バリバリのハードSFのクセして、ミステリーとしても第一級品なのがホーガン「星を継ぐもの」。この作品から受けるカタルシスは並大抵のものではありません。謎も一級品なら、解明の過程もとびきり素晴らしい。この本はミステリーマイベストを作るなら必ずベスト10に入れたい作品です。
藤沢周平「消えた女」は、大江戸ハードボイルド。この本も大好きです。とにかくラストの場面が素晴らしい。内容はほとんど忘れかけてますが、このラストの場面だけは死ぬまで忘れることはないでしょう。
思いつくまま書きましたが、続きはまた次回に。