やはり素晴らしいですね。
ラヒリの透徹された高みから見下ろす視線は、長編になってさらに磨きがかけられた感があります。
インド移民の困惑に満ちた異国での生活が、やがて定着し、同化していくさまはそのまま時代の趨勢と重なりあい、慣習がすたれていくあきらめの悲哀が残ります。
主人公はゴーゴリですがまわりをとりまく他の登場人物も生彩を放ち、とても印象深い。全体としての人生が、詰め込まれた感じでもなくサラッと描かれ、かといって軽いわけではなくおそろしくきめ細かい。しかし、訳者の小川高義氏には頭が下がります。解説でも言及されてますが、長編でこの現在進行形の文体はキツイでしょうね(笑)。でもその苦労が充分報われてますね。とても自然だ。
とにかくラヒリはほんものだ。いやあ、この美人やっぱりすごいわ。