これはジェラルド・ダレルがアフリカのカメルーンに動物採取にいった時の体験記で、密林に生息する
様々な動物を追い求め、奮闘する姿が闊達な文章で生き生きと描かれています。おもしろいのが、彼が現
地で雇う原住民とのやりとり。特に笑ってしまうのが、部族の精鋭狩人エライアスとアンドライアのコン
ビです。ダレルとこの二人が密林で繰り広げる騒動は、微笑ましくて楽しい。しかし、これはユーモア小
説ではありません。
大小様々な動物が登場するんですが、彼等に対するダレルの姿勢は愛情に溢れ、習性を読み取ろうとする
探究心には頭が下がります。彼の目的は、できるだけめずらしい動物をできるだけ多く捕まえて、本国イ
ギリスに持ち帰ることなんです。そうするためには、傷つけずに捕獲し、すみやかに居住を確保し、長い
渡航に耐えうる体力を温存させなければならない。この部分はほとんど彼の孤軍奮闘です。その動物はい
ったい何を食べるのか?どういう環境にしてやればストレスを感じることなく生活できるのか?寝る間も
惜しむ彼の姿にはほんと感服します。神経質な動物は食べ物を受けつけず死んでいきますし、環境のせい
なのかさっきまで元気だった動物がいきなり死んでしまうこともあります。しかし、彼はあきらめず、驚
くほどポジティブに密林に、山に、分け入っていくんです。
ちょっとうらやましい。それだけ熱中できるってとこがうらやましい。この人、非常に大変だけど、とて
もいい体験しています。