読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

池井戸潤「アキラとあきら」

700ページあるのだが、読み始めたらアッという間だった。相変わらずのリーダビリティだ。池井戸作品のこういった銀行物の面白さというのは、ある意味カタストロフの醍醐味であって、解決不能な難問または巨大な敵を倒すことで、読者の溜飲を大いに下げて…

大崎善生「いつかの夏  名古屋闇サイト殺人事件」

日常が何事もなく過ぎてゆく幸せ。いつも側にいる人が、相変わらずそこにいる幸せ。喧嘩をしたり、もどかしい思いをすることがあったとしても、その人がそこにいるということが続いてゆく幸せ。そういった幸せは普段意識することはないし、だれもがそれをあ…

中村融編スタージョン、チェスタトン他「夜の夢見の川」

〈奇妙な味〉がいったいどういうものなのかと誰かにきかれたら、ぼくはそれを明確に答える術を知らない。でも、自分の中では漠然と〈奇妙な味〉というテイストがもたらす感覚を認識していて、たとえて言うなら、匂いで嗅ぎ分けているようなものなのだ。でも…

ハーラン・エリスン「ヒトラーの描いた薔薇」

十三編収録。収録作は以下のとおり。 ・「ロボット外科医」 ・「恐怖の夜」 ・「苦痛神」 ・「死人の眼から消えた銀貨」 ・「バジリスク」 ・「血を流す石像」 ・「冷たい友達」 ・「クロウトウン」 ・「解消日」 ・「ヒトラーの描いた薔薇」 ・「大理石の上…