読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

切りとられた風景

切りとった風景に馴染んで君が笑ってる

細められた目と、白い歯

軽く腕を組んで、自然に笑う君は

とても幸せそうだ

舞い落ちる桜の花びら

土塀に囲まれた狭い道

どうしてこんなところで写真を撮ったのだろう

どうしても思い出せない

やさしい笑顔をみせる君は

いまのぼくたちの境遇など知りもしない

未来に待ってる出来事に眉をひそめることもない

君の身の上話はみんな嘘だった

でも、君の語った嘘にぼくは魅了された

ベッドの上で、君の胸の上に頭を乗せ

君の話を聞くのが好きだった

君の鼓動を感じながら

目を閉じて

それが幸せだった

どうして、こんなところで写真を撮ったのだろう

いくら考えても思い出せない

震えてる

ぼくの心が震えてる