読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

小野不由美「残穢」

「残穢」とは、読んで字のごとく穢れが残ることである。穢れとは、ただごとでない。穢れは汚れではない。汚れのように洗い流すことのできないものなのだ。穢れは、お祓いや清めによって浄化される場合もある非常にやっかいなものなのだ。そう、穢れは一度つ…

立川談春「赤めだか」

立川談春のことを意識するようになったのは、もちろんテレビドラマの「下町ロケット」の影響だ。 あ、この人「ルーズヴェルト・ゲーム」に出てたあの憎たらしい敵役の社長じゃないか。でも、今回はいい役してるな、なかなか味のある役者さんだ・・・なんて勘…

アンリ・トロワイヤ「仮面の商人」

これもタイトルから、まったく内容の予測のつかない物語である。大雑把にいえば、本書で描かれるのは史実の信憑性だ。実際に起こったことと、どうしてそうなったのかという事実があって、それを掘り起こして語る場合、いったいどこまで真実に近づけるのか?…