読書の愉楽

本の紹介を中心にいろいろ書いております。

2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

パートナー・オブ・ライフ

悲しみはさりげなく寄りそう。目尻に、小さな肩に、長い髪に。けっしてヒロインになりたいわけでもないし、なろうとも思ってない。ただただ普通に生きていきたいだけ。特別な日なんていらないし、変化もなくていい。わたしは目立たない、ごく普通の女なのだ…

三田村信行「おとうさんがいっぱい」

児童書なのに恐怖とはいったいどんな感触なのだろう?と興味をもったので読んでみたのだが、なかなかおもしろかった。 本書には五編収録されていて、それぞれが不安を中心に物語が構築され、最後にはブラックなオチがまっているという体裁だ。それでは各編か…

ジェス・ウォルター「美しき廃墟」

なかなかの大作だ。はじめて読む作家であり、タイトルから汲みとれる真意もまったくわからないし、読みはじめた当初は、本当にこれ読み切れるのかなと不安にもなった。しかし――――しかしである。 これが、ああた、もうあれよあれよという間にページがすすんで…