心してかかって下さい。この本は、それほどに過酷な本です。
なんの苦労も知らず、ぬくぬくと育ってきた甘ちゃんのぼくには、まるで地獄をみているような恐ろしいくらいの修羅場でした。
生きるという事が、こんなにも苦悩に満ちた喘ぎのくり返しだとは思いませんでした。こういう人生が、本当にあるということにまず驚きます。
なんの変哲もない、平凡な毎日をおくっている自分が有難いものなのか、恥ずべきものなのかよくわからなくなってしまいました。
ただ、がむしゃらに女と金を求め、本能のまま行動する獣たち。
あらゆる汚物を呑み込んで、ドロドロに混ざり合った掃溜めの中での生活。
水商売のもつ表の華やかさと、裏にある孤独とやるせなさ。
全部ひっくるめて、あらためて思う。
どうして、そうまでなるのかと。
何か近寄りがたい恐怖が、そこにあるように思いました。
落ちるところまで落ちれば、どんなプライドの高い人間でも生にしがみつき、死ぬことは出来ません。人間とは、愚かですが強い生き物だと思いました。