最近は映画館からも遠のいてしまって、めったに映画も観なくなってしまったのだが、一頃は映画にとち
狂っていた時期があって、色んな作品を貪るように観たものだった。
その時期ハマっていた監督がブライアン・デ・パルマだった。彼の作品でリアルタイムに映画館で観たの
の特質が出てる映画とは言いがたかった。
ブライアン・デ・パルマの最良の映画は初期作品から中期にかけて集中している。といっても、それはぼ
く個人の好みでの判断なのだが^^。
彼のどの作品を観てぼくが注目するようになったのかといえば、それは「キャリー」でもなく「殺しのド
の効果音を担当してるトラボルタが野外で効果音に使う音源を録音してる最中に偶然交通事故に出くわす
まれていた映画で、ラストの悲鳴の効果的な使われ方がいまだに忘れられない傑作だった。
これを観て、ぼくは俄然この監督に注目するようになった。それまでに観ていた作品はおもしろくなかっ
たわけではないし、ヒッチコックの後継者といわれる彼の演出の巧みさにも接していたのだが、それ以上
でも以下でもない標準的な評価しかしてなかったのだ。
それからは彼の作品を軒並み観ていった。
その中でいまでも好きなのが、彼の初期の作品である「悪魔のシスター」だ。
の迸る才能が光る逸品だった。邦題がイケてないので、彼のファンでないかぎりわざわざ観ようとはしな
い映画だと思われるが、これはミステリファンなら観て損はない映画だと思う。中でも印象に残っている
のが、途中いきなり切り替わるニ分割画面の演出だ。あちら側とこちら側で進行する物語の過程をニ分割
で同時に映し出すことによって、強烈なサスペンスを生み出している。監督自身は新人時代に作った映画
なので、低予算その他の理由で満足のいく仕上がりになってないと思ってるらしく、セルフ・リメイクを
するとかしないとか言ってるらしいが、なかなかどうして非常におもしろい映画だった。
その他の映画では、こちらの方が「キャリー」よりも秀逸なホラー映画ではないかと思っている「フュー
リー」
ヒッチコック作品の「裏窓」や「めまい」を下敷きにエロティックでブラックな味わいに満ちた「ボデ
ィ・ダブル」
ありえない設定をストレートに描き、豪腕でねじ伏せましたという感じの「愛のメモリー」
などなど、一癖も二癖もある作品があり、何度観ても飽きない面白さだった。
しかし80年代後半からは、前述の「アンタッチャブル」にはじまり、マイケル・J・フォックスを主演
りの作品が続いていくことになる。これはこれでそれぞれおもしろかったのだが、デ・パルマらしいケレ
ン味が感じられなかった。もう彼のあのねじれた感性に触れることは出来ないのだろうかと思ってるとこ
ろへ登場したのが「レイジング・ケイン」だった。ここで、少し彼の持ち味が復活する。陰湿で背筋の寒
くなる多重人格者をジョン・リズゴーが好演しており、彼の怪演が印象に残る作品だった。
王を演じた「カリートの道」である。
この映画はアル・パチーノの魅力が最大限に引き出された傑作で、ところどころに使われている監督らし
い小技の効いた演出と、なによりスタイリッシュな映像が素晴らしい作品だった。監督の作品の中では一
番好きかもしれない。
いか。どちらも、そこそこの作品だが傑作ではなかった。
つい先ごろ公開されていた「ブラック・ダリア」はどうなんだろう?ちょっと期待してるのだが。
では、長々と最後まで個人的なノロけ話にお付き合いいただいたみなさん、どうもありがとうございまし
た。実をいうと、ぼくにはもう一人大好きな監督がいる。テリー・ギリアムがその人なのだが、また機会
があればその人についてノロけてしまうかもしれない^^。そのときはどうぞよろしく。